R-C回路を用いた頭蓋内圧力のコンピューターシミュレーション
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概要
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頭蓋内各部位での圧力の変化や伝達の様式は未だ充分には解明されていない。本研究は,コンピューターシミュレーションにより,頭蓋内の圧力変化を再現出来るのではないかと考え,電気工学モデルであるR-C回路を用い,頭蓋内の圧力の分布様式を様々なパラメーターを設定することにより計算し,臨床例で得られたデータと比較し良好な結果を得たのでこれを報告するものである。<方法>各脳室のコンブライアンスをコンデンサで表わし右側脳室をC1.左側脳室C2,第三脳室C3,第四脳室C4,頭蓋内クモ膜下腔C5,脊髄クモ膜下腔をC6とし,左右のモンロー孔をそれぞれ流路抵抗R1,R2,中脳水道を流路抵抗R3,第四脳室出口を流路抵抗R4,頭蓋脊髄腔間の流路抵抗をR5としたR-C回路を作成した。内頸動脈の圧力Picと頸動脈の圧力Pjvをdriving forceとし,血管床のコンブライアンスの動脈部分Ca,毛細血管部分Cc,静脈部分Cvがそれぞれ血管抵抗Ric-ca,Rca-cc,Rcc-cv,Rcv-jvによりつながっていると考えた。また頭蓋自身のコンブライアンスC7も考慮した。脈絡叢よりの髄液産生や経脳室上衣性髄液吸収路も想定し,単位時間あたりの脳血流は頭蓋内圧にかかわらず一定とした。<結果>Ca,Cc,Cvを変化させることで頭蓋内圧の低いところではP1,P2,P3に相当する呼吸性変動を伴う3相波が生じ,頭蓋内圧の上昇につれ次第にP1が消失し,動脈波形によく似た呼吸性変動を伴わない2相波が生じた。<結論>頭蓋腔の圧力変化はその血管床のコンブライアンスに影響され,その脈波の成分は静脈および動脈波形によって変化する。
- 神戸大学の論文