左室局所収縮様式からみた僧帽弁膜症手術術式の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
帽弁狭窄症(mitral stenosis,MS)に対する直視下交連切開術(open mitral commissurotomy :OMC)と弁置換術(mitral valve replacement : MVR)の問題点を,左室局所収縮様式の面から比較検討した。研究対象としたMS34例の内訳は,OMC施行例が12例,MVR施行例が22例であった。また,参考対照として,全例MVRが施行された僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation :MR) 28例を研究に含めた。これらの症例について,手術前後の右前30度左室造影像における5sector, 8segmentについて各局所での収縮末期-拡張末期の面積変化率(regional change of area: RCA)を比較した。MS例では,各sectorにおけるRCAはOMC群およびMVR群の手術前後で有意差はなかったが,MRに対するMVR例では乳頭筋付着部に相当するsector5の有意の低下が認められた。また,MSに対してOMCを実施した群では,僧帽弁下癒合によって固定されていたsegment1,7,8のRCAが術後改善されるととが判明し,MSに対するMVR実施群ではsegment8のみが改善された。一方,MRに対するMVR実施群ではsegment1,6,7の有意の低下が認められた。以上より,OMC群では弁下病変の解除により乳頭筋付着部の局所収縮が改善されるが,MVR群では乳頭筋付着部は弁下構造による支持を失うため,その局所収縮の改善は得られないものと推測された。
- 神戸大学の論文
著者
関連論文
- 慢性大動脈弁閉鎖不全症の診断と治療方針
- Bentall 手術症例の検討
- 35.尿膜管遺残症5手術例の検討(第24回日本小児外科学会近畿地方会)
- 磁気共鳴画像法による冠動脈 ・ 大動脈バイパス術後のグラフト開存性の評価
- Ventricular Assist Cup に関する実験的研究
- 左室局所収縮様式からみた僧帽弁膜症手術術式の検討