実験的角膜アルカリ外傷治癒過程とEGFの影響
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概要
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家兎角膜アルカリ外傷治癒過程における上皮細胞とkeratocyte (Kcと略)の細胞増殖動態について検討した。また,Epidermal growth factor (EGFと略〉点眼の角膜上皮細胞Kcに対する影響についても同時に報告する。1N NaOH にて家兎角膜アルカリ外傷を作成。受傷後h-EGF(10μg/ml)または生食を1日5回点眼した。1-56日目に角膜を摘出し,3^H-thymidine又は3^H-proline(lOμCi/ml)で標識しautoradiographyに供した。上皮細胞は受傷後1日目脱落していたが,創周辺部の細胞が活発に増殖を開始していた。EGF点眼角膜では3日目までの細胞増殖は明らかに促進されており,上皮再生は,EGF点眼角膜においてすぐれていた。7日目以降,EGF点眼角膜においても種々の時期において上皮剥離や潰瘍形成がおとった。創部のKcは受傷後1日目,完全に死滅していたが,創周辺部内皮側より増殖を開始し,7-14日目になると創部Kcの密度はほぼ正常に回復し,増殖は低下していた。その後Kcは活発に3^H-prolineをとりこみコラーゲンを産生し. 56日目まで持続していた。しかし,上皮剥離や潰瘍形成の部のKcは再び活発に細胞増殖を行っていた。EGF点眼角膜において初期のKcの増殖が促進されていた。角膜アルカリ外傷治癒においては実質と上皮の創傷治癒が複雑に関係し,上皮細胞増殖. Kc増殖,コラーゲン産生を長期間繰り返していた。EGFは初期において上皮,実質の両者に細胞増殖促進効果をもたらすことが示された。
- 神戸大学の論文