排気系材料のトレンドと開発の動向(<特集>環境対応材料の現状と課題(III) : 自動車排気系)
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概要
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近年,地球環境の保全の面から自動車に対する燃費向上・排気ガス中の有害成分低減の要求は益々高まり,温室効果ガス抑制のためその規制も年々強化されつつある.このような規制の中,自動車の動力源そのものの大変革が求められており,ブレーキの回生エネルギーを利用し従来の原動機とモーターをコンバインし最適に制御するハイブリッド自動車やCO_2の削減に有効とされているディーゼルエンジンの普及が待望されている.特に欧州では,現在でも50%を越えるディーゼル車が走っている国があり,この傾向はますます高まるといわれている.日本国内ではディーゼルは黒煙を出す嫌われ者となっているが,粒子状物質を捕捉・燃焼する技術が確立されつつあり,将来は日本でもディーゼル車が普及する可能性は高い.特に,ディーゼルハイブリッド車は将来の有望な環境対応車であるともいえる.更に究極の低公害車として,燃料電池車が'02年末にトヨタ,ホンダより発表され,いよいよ燃料電池車の幕開けかと思われた方も多いと思う.ただ現実としては,燃料電池車の本格的普及には,15年から20年後と考えられている.これは水素供給のインフラの整備の問題もあるが,コスト・信頼性の面で解決しなければならない課題が山積しているからであろう.コストに関しては,現状の1/100にしなければ現状の内燃機関と勝負できないとも言われている.従って,当面は現状の内燃機関をいかに効率よく運転させ燃費を向上させるか,また排出されたガスをいかに浄化するかが対応のポイントとなっている.本稿で述べる排気系はエンジンと直結される部品であり、上記対応が排気系の仕様に及ぼす影響は非常に大きい.以下,地球環境対応からくる各種規制と排気系の有する機能との係わり合いから,本稿の主題である材料のトレンドについて述べさせていただく.
- 2003-10-05