マツヅアカシンムシの蛹寄生蜂 Itoplectis cristatae Momoi の性比におよぼす寄主の大きさの影響
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概要
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1964年から1967年にわたつて, 野外調査(福岡市付近)と室内実験(25℃恒温室)を行なつて, マツヅアカシンムシの蛹寄生蜂Itoplectis cristatae Momoiの性比に対する寄主の大きさの影響を調べた.野外調査の結果, この蜂の寄主であるマツヅアカシンムシの蛹は, 雌雄に大きさの差が見られた.この大きさの異なる雌雄の蛹から羽化する蜂の性は寄主の性とよく一致した.したがつて, 寄主の大きさと蜂の性比には高い相関関係がある.すなわち, 大きな寄主からは雌蜂が小さな寄主からは雄蜂が出現する.寄主の大きさと蜂の性比の関係が生じる原因について, 室内で実験を行なつて, 検討を加えた.実験の結果, 寄主体内での寄生蜂幼虫の生育途上での死亡による原因と餌量によつて生じると考えられる性転換が本蜂の性比を決定することはないことがわかつた.そこで, 大きな寄主と小さな寄主を同数ずつ, 蜂に与えて寄生させると, 大きな寄主からは小さな寄主よりも雌が多く出現する.このことは, 親蜂が大きな寄主に受精卵を多く産み付けることを示している.
- 日本昆虫学会の論文
- 1969-05-31
著者
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