イノコズチアブラ(假稱)の生活史に就いて
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概要
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1. 京都で見られた生活環は非移住性で、10月下旬、産雌蟲が雄蟲、産卵性雌蟲を胎生し、11月中旬より翌年1月下旬まで産卵が行われ、多く、土壌に産下された卵が卵態で越冬する。産卵性雌蟲は2月下旬まで生存するが越冬し得ない。4月初旬、幹母が孵化し、以後10月まで、有翅無翅の胎生雌が増殖し、10月中旬産性蟲を胎生する。2. 本種の食餌植物はイノコズチAchyranthes japonica Nakaiで日照不良の場所の株に多く群棲し、根端より20cm内外まで土壌の龜裂に沿つて根に棲息し、所謂根〓蟲で、又莖、葉裏、小花、胞果にも見られる。時に蟻が莖に土芥様な物で巣を作り、共棲している。本種の分布は現在、本州のみである。3. 發育期間は略々氣温の上昇と共に短縮する傾向があり、無翅胎生雌蟲の飼育結果からの比較發育速度直線に據つて、實驗式y=0.468x-1.347を得た。yは比較發育速度、xは平均氣温である。それから得た理論的發育零點は3.5℃, 有効積算温度は213.5日度であつた。4. 産仔期間は平均18.2日、最高40日で、總産仔數は平均36.6匹、最高105匹であり、1日最高産仔数は11匹、無産仔日數は平均36日、最高24日、産仔期間中の産仔日の日平均産仔數は平均2.6匹、最高5.8匹であり、産仔後期間は平均5.3日、最高35日でり、これらと氣温との關係を見て、所謂適温範圍は13-23℃に至るまでにあり、この時期に於いて最も良く増殖し、酷夏期には個體數が減少する。
- 日本昆虫学会の論文
- 1950-07-30
著者
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