タバコを寄主とするモモアカアブラムシの寄生蜂群構成
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概要
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1. タバコを寄主とするモモアカアブラムシの寄生蜂群構成を, 全国10ヵ所のタバコ圃場および京都の実験圃場でサンプリングしたマミーからの羽化虫によって調べ, アブラナ科蔬菜およびジャガイモ, ナスでのそれと比較した.2. 1次寄生蜂はタバコではAphidius gifuensisのみであった.しかし, 京都ではDiaeretiella rapaeもごく少数羽化した(構成比率1%以下).3. 2次寄生蜂全体の構成比率は, タバコでは著しく低かった(0∿30%).主要6種中, Asaphes suspensus, Dendrocerus carpenteri, D. laticeps, Aphidencyrtus tachikawaiの4種の構成比率は, タバコではほかの作物と比べ明らかに低かったが, Pachyneuron aphidisとCharips sp.bの比率は, 大差なかった.4. 粘着性の高いタバコ茎葉面への付着個体数は, D. rapaeのほうがA. gifuensisより, 2.5∿9倍多かった.2次寄生蜂についても, マミーからの羽化個体数比率の低い種ほど, 付着個体数は多いという傾向が見られた.5. A. gifuensisとD. rapae雌成虫の寿命は, いずれもダイコンよりタバコで明らかに短く, 産卵数は少なかった。その差はいずれについてもD. rapaeのほうが大きかった.6. これらの結果から次のことが考えられる.i)寄生蜂はどの種もタバコ茎葉面の特異な物理化学的性質によって, 寄主探索活動が妨げられ, 時にはそれに付着したまま死亡する.ii)しかし, 活動が抑制される度合いは, 種によって異なる.iii)その差異がタバコでの寄生蜂群構成比率に大きな影響を及ぼしている.
- 日本昆虫学会の論文
- 1982-12-25
著者
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高田 肇
Laboratory Of Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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竹中 洋治
Laboratory of Entomology, Faculty of Agriculture, Kyoto Prefectural University
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竹中 洋治
Laboratory Of Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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