河川下流域におけるショウジョウバエ相
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概要
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1.河川の下流域においてトラップおよびスィーピングによって採集されたショウジョウバエがどのようなギルドに属するかを調べ, ギルド構成に基づくショウジョウバエ集団の生態的構造によって下流域がショウジョウバエにとってどのような環境的特徴をもっているかを考察した.2.下流域のショウジョウバエは以下の8つのギルドのいずれかに属し, 各ギルドの主な構成種は次のとおりである.G-F=D. triauraria+D. auraria, G-L=Sc. pallida, Sh-Ld=D. nigromaculata+D. nipponica, F-T=A. okadai, F-M=D. brachynephros+D. testacea+D. histrio, F-F=D. biauraria, Ss-T=D. kanekoi+D. lacertosa, H-G=D. busckii+D. suzukii+D. immigrans+D. melanogaster.加えてこれら各種の分布状況についての考察を行った.3.これらの解析によると, ショウジョウバエにとって河川下流域とは草地環境が全面的にひろがる中に川岸の水辺環境とヤナギの群落による森林環境が点在する.さらにこれら自然環境とは独立なゴミによる人家性環境があちこちに存在し, 自然環境と人家性環境の複合した状況であると考えられる.
- 日本昆虫学会の論文
- 1980-09-25