高速ディジタル移動無線用周波数領域伝送特性評価システムの概要

概要

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将来のディジタル移動無線通信では、電話や低速データ通信に加えて、画像やファイル転送などを実現すべく、伝送速度の高速化が求められることになろう。高速ディジタル移動通信では、レイリー・フェージングによる受信レベルの落ち込みと周波数選択性フェージングによる符号間千渉が特性劣化の大きな要因となる。このような高速ディジタル通信の特性を実験的に解明するアプローチとして、時間領域すなわち遅延プロファイルを測定する方法と周波数領域すなわち伝達関数を測定する方法が考えられる。筆者らは高速で周波数特性を取得可能なスベクトラム・アナライザが近年開発されたことに鑑み、後者のアプローチに基づく実験を実施した。すなわち、広帯域にわたる周波数特性を比較的瞬時に取得し、周波数選択性フェージングによって発生するノッチ(周波数成分の落ち込み)を解析することによって高速ディジタル通信における伝送特性を明らかにすることを目的とした。本稿では、上述したアプローチを実現すべく用意した実験システムならびに実験結果の一部を紹介する。
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-09-26