分散オブジェクトを用いたファイルシステム
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概要
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並行オブジェクト指向モデルに基づく通信網ワイド分散処理プラットフォーム,PLATINAの検討を行なっている.PLATINAでは,並列実行の処理単位であり能動的に動作する能動オブジェクトと,能動オブジェクトの実行環境下で受動的にしか動作しない,受動オブジェクトを提供している.また,各アプリケーションは個別の論理メモリ空間であるドメインで実行される.能動オブジェクトに送信されるメッセージは並列メッセージと呼ぱれ,その送信先はシステムで一意に定まるオブジェクトID(OID)により指定する.OIDは,ノード番号,ドメイン番号を含む.並列メッセージ送信においては,送信先オブジェクトがローカルにいてもリモートにいても,全く同じインターフェースでメッセージ送信が可能であり,位置透過な能動オブジェクトへのアクセスが可能となる.一方,受動オブジェクトへは直列メッセージが送信可能である.直列メッセージはメッセージを送信するオブジェクトの環境下で実行されるため,環境の切替えの必要がないので,並列メッセージに比べてオーバーヘッドが小さいが,直列メッセージを受信する受動オブジェクトは,メッセージの送信オブジェクトと同一ドメイン内に存在する必要がある.本稿ではオブジェクトを用いたファイルシステムを取り上げる.ファイルに対してはリモートなアクセスも必要であるが,多くの場合ローカルなアクセスが行なわれる.よってファイルを能動オブジェクトとして実現するのはオーバーヘッドが大きい.本稿では,受動オブジェクトに対してリモートなアクセスを可能とする仕組みを提案する.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1994-09-26