単一観測井による多層地下水の採水調査法と採水装置の開発
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概要
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日本の地下水の大部分は, 第四紀の堆積層中に含まれ, 多層地下水として存在する.これらの地下水の水理的な諸性質を正確に知るためには, 各帯水層に応じた複数の観測井の設置が必要である.筆者らは単一の観測井を用いて, 多層地下水を層別に採水調査する方法とその装置を開発した.その調査法と装置の概要は, 次のとおりである.1)調査ボーリングによる地下地質の調査:(1)地下の地質と性状の調査, (2)帯水層や不透水層の深度と層厚の確認, (3)土質柱状図の作成 2)観測井の掘削とストレーナーパイプユニットの設置:(1)観測井の掘削, (2)観測井内にストレーナーパイプの挿入, (3)ストレーナーパイプ内部の泥水とスライムの洗浄 3)採水管ユニットによる採水と揚水:(1)採水管ユニットをストレーナーパイプ内部に挿入, (2)採水管を各帯水層に挿入し, 揚水試験および水質検査を実施する.本採水調査法の実施例として, 福岡県山門郡三橋町の地下水調査を行った.本地域の地質は, 第四紀完新世〜後期更新世の未固結の粘土層, 砂層, 礫層などの堆積物からなり, 4層の帯水層が確認された.単一の観測井を設置し, 各帯水層の地下水の揚水試験と水質試験を行い, 本採水調査法の有効性を確認した.
- 一般社団法人日本応用地質学会の論文
- 2000-12-10