蛇紋岩の土木地質的一検討
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概要
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蛇紋岩は主にカンラン岩が変質して生じた岩石であるが、粘土〜葉片状をなしていることが多い。蛇紋岩の主要組成鉱物のクリソタイル、アンチゴライトは、フィロ珪酸塩鉱物特有の葉片状剥離性と風化、あるいは吸水して粘土化しやすい性質がある。そのため切り土工事、トンネル工事等の土木工事中に、蛇紋岩は膨張性土圧を発生させ、さらに水が供給されると圧砕部は塑性流動を生じることがあるため、常に土木地質学上、その分布状況と性状の把握が問題になる岩石である。蛇紋岩は変質を受けた岩石であるため判別のむずかしい岩石である。筆者は蛇紋岩とはいかなる変質岩かと言う問いからスタートし、全国の蛇紋岩の産状と蛇紋岩化作用については文献により、九州北部の三郡変成岩地域の蛇紋岩については筆者がかつて行った土木地質調査資料を基に、産状と蛇紋岩化作用について検討した。また、我が国の代表的な蛇紋岩地帯のトンネル工事で遭遇した蛇紋岩の工学的性質と、筆者の調査による三郡変成岩中の蛇紋岩の性状を示し、加えて蛇紋岩に伴う変質鉱物の粘土鉱物学的検討を行った。まとめとして、蛇紋岩の産状と変質について土木地質的見地から形態分類を試みた。この報告が蛇紋岩地帯での地質調査の際の参考になれば幸いである。
- 1995-12-10