車速感応型PLL回路
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概要
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陸上移動通信におけるフェージング対策として, 移動体に指向性アンテナを用いる方法が提案されている. しかしながらこの場合には, アンテナ入力信号に定常的な周波数オフセットが生じるようになり, PLL性能に悪影響を与える. そこで本論文では, この周波数オフセットが移動速度によって変化することに着目し, 車速情報を用いて外部強制制御を行うPLL回路, 車速感応型PLL回路を提案する. 新しい設計パラメータであるアンテナ指向係数の設計法を示した後, 性能を解析する. この解析は, 同期検波を対象とし, キャリヤ位相追従に低次PLLを用いた場合の定常位相誤差による平均電力損ならびに軽減困難な誤り率(BPSK方式)について行う. 提案PLL回路の有効性は, 従来のPLL回路を備えた無指向性アンテナおよび指向性アンテナの受信方式と, 提案PLL回路を備えた指向性アンテナの受信方式の比較により示す. 提案PLL回路を用いることにより定常的な周波数オフセットの問題が解決できるだけでなく, 周波数オフセットのない無指向性アンテナ方式よりも良い性能が得られることが明らかになった.
- 1997-05-25