熱膨張を利用した赤外光ファイバの吸収損測定法
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概要
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赤外透過性単結晶を細孔から押し出して作製する赤外光ファイバは,粒径が30〜70μmの多結晶光ファイバである.この光ファイバの伝送損は0.1dB/mと大きく,吸収損のほかに残留ひずみ,表面欠陥および粒界に起因するとみられる散乱損が大きく関与していると言われている.損失要因を研究するうえで,各種損失を分離して測定することが不可欠であるが,吸収損を直接測定する方法は試みられておらず,光ファイバの周囲に放射される散乱光を測定し,総伝送損から差し引いて,吸収損を求める方法が用いられている.本論文では,吸収に伴う温度上昇による熱膨張から吸収係数を独立に求める方式を提案する.レーザ光を伝送したときの光ファイバの長さ変化と吸収係数との関係を求めるために温度分布のモデルを考察し,精度1%以内が得られる近似モデルを得,これによって吸収係数が得られることを示した.また光ファイバから周囲への放熱係数を,測定環境において測定できる,新しい熱伝達率測定法も提案する.この方法を用いてKRS-野光ファイバの吸収損と散乱損を測定した結果,散乱損が吸収損の約1.5倍あることを実験的に確認した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1993-12-25