アルカリ金属をドープした金属フタロシアニンの磁気特性
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概要
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近年、新しい有機機能材料のひとつとして有機磁性材料が非常こ注目されている。なかでも、アルカリ金属をドープした金属フタロシアニン(MtPc)は低キュリー温度、不安定性等の問題点を解決した有機磁性材料として報告され、実用的な磁性材料としての可能性を有している。そこで我々はこの材籵こ注目し、室温における磁化向上を目指し,FePcにへのカリウムのドープ反応において、最適処方(反応温度、反応時間、およびドープ量)の検討を行った。反応温度および時間の増加に伴い磁化は増大し、最適処方では、298Kで15.3 emuG/gという飽和磁化(金属Ni[58.6 emuGg/g]の1/4強が得られた。またさらなる温度および時間の増加に伴いそれは減少し、この反応過程ではFePc分子の分解を示唆する磁気特性が得られた。最適処方での試料のESRスペクトルにおいてg値がFePcの分子崩劇こ伴う遊離鉄のそれとは異なっていること、XRDパターンにおいて観察される構造がアモルファス構造であること等の特性が観測されたことから本材料の磁性の起源が遊離の鉄のみに起因しているのではないと推測している。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1995-09-25