会話における共有感覚
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概要
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本稿では、共有感覚が作用するメカニズムについて、理論と実証の両面から考察を進め、共有感覚の形成には相手との同期性が重要な役割を果たしていること、そこで形成された共有感覚は自らに対する拘束性として作用していること、この様な同期性と拘束性の二面性を兼ね備えた共有感覚が社会性の核になっていると考えられること、の3点を指摘した。他者情況の忖度から他者承認を得、それに依拠しつつ表現を連鎖的に伝播させ、同様のことをする他者との間に同期性を見いだしたとき、そこから共有感覚が生まれるのだが、共有感覚の拘束性は逆に他者状況の忖度や連鎖的伝播のさせ方にも影響を及ぼす。この様な自己言及性を持つ共有感覚が、人の言語活動において重要な役割を果たしていると考えられる。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-05-11