エピソード記憶の検索に関する神経機能画像研究
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概要
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エピソード記憶検索とは個人的に体験した過去の事象の記憶を検索することである。脳の活動をERPのように電気生理学的に測定した結果、ならびに、PETやfMRIによって血流変化を測定した結果から、この過程が主として側頭葉内側部と前頭葉の活動を内包していることが示されている。側頭葉内側部の活動は蓄積された情報の検索に関係し、前頭葉前部の活動はエピソード記憶検索という精神活動モードの持続に関係しているものと思われる。PETとERPを併用した研究によって、側頭葉内側部の活動は短期的な事象依存型であるのに対して、前頭葉の活動は持続的なタスク依存型であることがわかった。側頭葉内側部の活動には検索の確信度が反映され、誤認識の際にもその活動が観察される。一方、前頭葉の活動は文脈の検索に関係し、側頭葉内側部の活動に比べると老化や脳の損傷の影響を受けやすい。
- 1999-01-19