中緯度電離圏シンチレーションの発生特性と累積振幅確率分布
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概要
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VHF/UHF帯の衛星電波は電離圏を通過する際, 振幅や位相が電離圏不規則構造によるシンチレーションによって変動し, 時と場所によっては通信や計測に影響を受けることがある. 電離圏不規則構造は低緯度, 高緯度地域で起こり易く, 中緯度では発生頻度, 規模ともさ程大きくなく, 特性や発生機構は十分には知られていない, この報告では太陽活動サイクル22の上昇期にあたる1986-1989年に東京で受信した136MHz(ETS-IIのテレメトリー用)と1.7GHz(GMSテリメトリー)衛星電波の振幅シンチレーションの発生特性と累積振幅確率分布について述べる. 第1図は136MHz電波の振幅シンチレーション指数S4が0.141(≒3 dB)以上になる発生頻度の等値線図である. 1日の内では主に夜間に, 季節としては夏季に発生し易いことがわかるが, 太陽活動に対しては顕著な依存性は見られない. ただし, 太陽活動の上昇に伴い, 頻度は多くないが大きい振幅のシンチレーションが発生する傾向が見られた. シンチレーションの振幅分布は仲上m分布で近似できることが知られており, S4指数と仲上m分布の関係を使って累積振幅確率分布を求めたのが第2図である. S4∝f^<-7>と仮定して, 136MHzと1.7GHz累積確率分布ができるだけ一致するようにηを推定すると1.02以下となり, 従来言われている値より小さくなった. これは136MHzシンチレーションの飽和や二つの周波数の差が大き過ぎるためと思われる.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-03-06
著者
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