創造過程とコンカレント工学
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概要
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工学は設計に関する諸法則(例:オームの法則)を中心課題としていた時代から、プロセス制御 (制御工学)、工程管理 (管理工学) さらには経営という概念にまで及んできた (経営工学)。そこで、コンカレント工学というキーワードの中で、企業 (製造業) のマネージ (経営) を考察してみたい。コンカレント工学 (CE) は、大きなシステムの分割した並行開発、あるいは工程間のスムーズな移行、逆戻りの防止など空間的、時間的に拡がった開発を、より効率的に短期間で実行するための共同作業の方法論として展開された。即ち CE はあるプロセスの中のサブプロセス間のコンカレント マネジメントの問題であった。しかし今日、CE の慨念は、リテール市場で売られる消費者向けの量産商品についても重要になってきている。この種の商品は、いわゆる価格破壊の中にあって、差別化のための新機能と同時に厳しいコストが要求される。しかしそのコストは生産する物量に大きく依存する。また画期的新機能を付加しようとすると開発に時間を要するが競合商品の出現などでタイムリミットは一般に迫っている。従ってこうした商品はいわゆる商品企画の段階で仕様 (S)、コスト (C)、生産量 (V)、発売日 (D) を同時に (Simultaneous) 決めなければならない。それがそのビジネスの目標となる。そのためには営、技、生など各職能部門の責任者が集まり、目標としての SCVD を決めると同時にそれらの成立する諸条件に対し役割に応じてコミットする必要がある。言うなれば4元の連立方程式 (Simulataneous equation) を解くことでありかつその解に対し協同して (Concurrerlt) 責任を持つということである。これはコンカレント工学の概念そのものであろう。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-03-06