マルチメディアと脳
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概要
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通信の高速大容量化とコンピュータの高性能化とによって, マルチメディアの "環境化" が進行している. 一方, 脳科学や脳機能計測技術の発展により, メディアと脳とのかかわりについて科学的に検討する可能性が開かれた. 既に, 脳と情報環境との不適合が脳内神経伝達物質の代謝異常によるうつ病・分裂病などの発症を導いたり, メディア情報の物理構造によって脳の活性が左右される例などが知られ始めている. メディア技術も, 食品や薬品と同様に, 人間との生理的適合性, 安全性が真っ先に問われるようになることは歴史のすう勢と言えよう. この流れを積極的に活用してマルチメディアが社会へ貢献しつつ発展する上で, 「メディアと脳」というアプローチの枠組みは決定的な役割を果たすに違いない. それには, 物質的アプローチと情報的アプローチ, 生理的アプローチと心理的アプローチという, これまで互いに独立して進められてきた異質のやり方を一つに融合した研究が効力を発揮する.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-04-25