キャリア位相誤りが多値変調方式に及ぼす影響について(NLPとの合同セッション)

概要

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多値変調方式による同期高速データ通信システムでは,キャリア位相同期における残留誤りがシステム性能を著しく劣化させる要因でとなる.しかし、実際にどの程度の位相誤差がシステム性能にどれだけ影響を与えるかに関しては未だ十分な研究がなされていない.本研究では,キャリア位相に誤差を伴うシステムの加法的白色ガウス通信路における通信路容量(厳密には,平均相互情報量)を算出することにより、位相誤差と最元晴報伝送速度との関係を明らかにする.その結果,位相誤差の存在は情報伝送速度を確実に低下させるものの,誤り訂正符号のパリティビット付加により情報伝送速度を適切な符号設計に基づき減少させることで首尾よくエラーフリーの通信システムが構築可能であることが明らかにされた.さらに,トレリス符号化変調方式とターボ符号化変調方式のビット誤り率特性を比較することにより,信号対雑音電力比での動作領域の違いによる位相誤差がシステム性能へ与える影響を調べた.本研究により,これまで経験的に信じられていた強力な誤り訂正能力による位相雑音抑圧の効果が初めて定性的に示された.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-06-17