マイクロマニピュレーション技術と3次元フォトニック結晶への応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日の電子デバイスの隆盛の礎となったのは,電子を自由に操ることができる半導体結晶であった.光を自由に操ることができるフォトニック結晶も,光デバイスを実現させ,発展させる要になるであろうと考えられている.フォトニック結晶デバイスを既存の光通信システムや電子デバイスと融合するには,サブミクロンオーダの微細周期構造や,導波路や発光体の高集積化を可能にする構造設計や材料の選択自由度の高さが必要である.本研究では,複雑な構造をいくつかの簡単な部品に分け,それらを半導体加工技術で一括成形し,その後,部品を電子顕微鏡観察下でマイクロマニピュレーションにより組み立てることによって,複雑な3次元フォトニック結晶を,効率良くチップ上に配置することを可能にした.作製した結晶の積層誤差は50nm以下と大変小さく,またその光学特性からも3次元フォトニック結晶の特徴であるフォトニックバンドギャップの存在が確認できたことから,大変精度の高い結晶であることがわかった.フォトニック結晶にデバイスとしての機能をもたせるには,人為的に構造の一部を変更したり,異種材料を導入したりする必要があるが,これについても,人為的な欠陥を導入したフォトニック結晶を容易に作製できることを示した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2003-06-01