災害対策用ディスク間遠隔コピー方式の改良(データベース)
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概要
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情報システムが災害を受けたときの回復を容易にするために,主サイトから離れた場所に非常用の副サイトを設置したシステムが増えてきた.このようなシステムでは,副サイトのディスクの内容を主サイトのディスクの内容に常に一致させておく必要がある.すなわち主サイトでディスクの更新を行うつど,遠隔地にある副サイトのディスクに更新順序を乱すことなく更新データをコピーしなければならない.更新データのコピーを行う従来の方式に,主サイトのホストで行う方式(以下,ホスト依存コピー方式と呼ぶ)と,主サイトのディスクサブシステムと副サイトのディスクサブシステムだけで行う方式(以下,同期型ディスク間コピー方式と呼ぶ)がある.後者を「同期型」と呼ぶのは,この方式では副サイトでの更新順序の乱れを防ぐため,主サイトのホストが発したライトコマンドは副サイトのディスクサブシステムがコピーを受け取ったことを主サイトのディスクサブシステムに報告するまで完了させないからである.これらの方式にはそれぞれ大きな欠点がある.ホスト依存コピー方式では貴重なホストの資源がコピーのために大幅に消費される.一方,同期型ディスク間コピー方式ではライトコマンドの実行に時間がかかり,システム性能が低下する.特に主サイト,副サイト間の距離が長い場合,信号の伝搬時間の影響が大きく,ライトコマンド実行時間は実用に耐えない値となる.筆者らは同期型ディスク間コピー方式を改良して,複数の論理ユニットにまたがって更新順序を保つ「非同期型」とし,その欠点を取り除くことができた.本方式では,ライトコマンドは主サイトのディスクサブシステムのキャッシュメモリに更新データを書き込んだ時点で完了させ,副サイトヘのコピーはホストからのコマンドと非同期に実行する.データ更新の順序には順序番号を用いるが,順序番号の生成を主サイトのディスクサブシステムで複数の論理ユニットにわたって更新順に行う.非同期化の手法として,一つの論理ユニット内に閉じて順序番号を生成することに触れた方式もあるが,本方式では更新順序を複数の論理ユニットにまたがって主サイトのディスクサブシステムと同一に保つようにした.筆者らは本方式を適用したディスクサブシステムを作成し,遠隔地に副サイトを設けた情報システムとしての性能を実用負荷において評価した.その結果,副サイトを1000 km 離して設置しても,主サイトディスクサブシステムのライトコマンド実行速度を低下させずに,副サイトのディスクサブシステムに更新データが正しい順序でコピーできることを確認した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2004-06-01
著者
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