光ファイバ開発の歴史と最近の動向(センサ,一般)
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概要
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1970年代に石英光ファイバの開発が本格化して以来30年以上が経つ。石英光ファイバはそれ以前の銅線ケーブルに比べて、「無損失」「無歪」の理想伝送路に大きく近づくものであり急速な研究と実用化が進められた。開発初期は石英ガラスの低損失化を目指して各種製法が研究され、日本においてはVAD法という独自の優れた製法が完成した。同時に光ファイバの設計法、高信頼性技術も確立し、早くも1980年代中期には世界に先駆けて全国的規模の光幹線網を整備するに到った。また、長距離伝送システムの飛躍的な性能向上は、世界規模で大洋横断光海底ケーブルの建設を可能にした。光ファイバの低損失化は純石英コァファイバの開発で到達点に達したと言えるが、光信号の伝搬歪に関しては石英ガラス媒質のもつ分散性に起因する波長分散歪を軽減して大容量伝送を可能にする分散シフトファイバが開発された。1990年代後半から波長多重伝送方式が実用化されると一層の波長分散対策が要求され、非ゼロ分散シフトファイバ、分散補償ファイバ、ハイブリッド型伝送路、分散フラットファイバなどの種々の分散制御ファイバが開発された。またハイパワーの光信号に誘起する非線形歪の対策も光ファイバ設計の技術課題になっている。今後、光ファイバ通信網は情報化社会の基盤として加入者系から幹線まで、全光化をも視野に入れて一層高度なネットワークに発展していくと考えられる。また、最近、研究が進んでいるホーリーファイバも、従来の光ファイバでは得られない特性を活かして光通信網の一部、あるいは非通信分野での応用が期待される。
- 2004-05-14