家庭会計における消費概念とその認識基準
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概要
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伝統的な家庭会計観のもとでは, 財貨・用役の消費時点はそれらがあたかも購入支払の時点で消費され尽くしたかのごとくに認識される. これは一種の現金主義会計にほかならず, 期中の購入支払のすべてが必ずしも当該期の消費を意味するとは限らない. 通常, 経済学の効用理論における「消費すること」とは財貨・用役によって欲求を充足することであり, この欲求充足感それ自体は「効用」と称せられる. もし, この考え方を家庭会計にも取り入れるならば, この場合の「消費」概念は期間計算上, 効用の実現に貢献した当該期の価値として設定されるべきる. したがって, 会計における「消費」を経済学のそれに概念的に同調させるためには, 発生主義が消費支出の認識基準に適用されねばならない. 当然, このことは財産における正味価値の計算に深く関連し, 家庭管理に対しても,より有益な会計情報を提供するであろう.
- 社団法人日本家政学会の論文
- 1990-02-05
著者
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