フィードバックの機能と概念について
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概要
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バイオフィードバック療法の創成期の基礎研究には自律反応のオペラント条件づけの研究があり,自発的自律反応に対して強化を与えることにより当該自律反応の生起頻度を変化させることができるかというものであった.バイオフィードバックは本来Skinner, B. F.の創始した行動分析と密接に関係したものである.強化という操作的に定義された概念をはなれ,フィードバックの機能と概念に着目すると,様々な分野でそれが援用されている.本稿では,行動分析における強化随伴性,交流分析のストローク,そしてBateson, G.の認識論におけるフィードバック・ループをとりあげ,それらの機能と概念の相違を考察した.その結果フィードバックはそれぞれの分野において重要な概念として位置づけられているものの,客観的情報としてのフィードバックと,それを個体がどのように受け止め,どのような結果を生じさせるのかという問題にたいする観点が異なっている.抽象化された概念あるいは情報と具体的な行動が生じている状況とは論理階型が異なっており,混同して論じてはならない問題であることがベイトソンによって示されている.フィードバックは行動変容に係わる研究にはなくてはならない機能をもっていると同時に認識論の理論的基礎を提供するものである.
- 2004-10-30
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