幼稚園児のいざこざに関する自然観察的研究 : おもちゃを取るための方略の分類
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概要
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おもちゃを巡るいざこざ場面で幼稚園の年少組に属する3歳児がどのように相手に対し働きかけているのかを自然場面で観察した。全部で65のエピソードが収集され, それらは特定の働きかけ(方略)が生起しているエピソードを1単位として, エピソードの生起頻度の点から分析された。その結果, 子ども達は言語方略以外にもおもちゃを相手から遠ざける, おもちやをしっかり握って離さない, おもちやを持って逃げるなどの行動方略を多く用いていることが明らかになった。また, おもちゃを所持している子ども(ホルダー)と使おうとする子ども(テイカー)とでは, ホルダーの方がおもちゃを所持する割合が高いこと, 用いる行動方略がそれぞれで異なることから両者の非対称性が示唆された。さらに, おもちゃに「接触」するとテイカーがおもちゃを所持する割合は高くなっていることを示した。これらの結果から3歳児は用いる方略をおもちゃの特性やいざこざ時の立場に合わせていると考えられた。
- 1996-08-01