絵本場面における母親と子どもの対話分析 : フォーマットの獲得と個人差
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は, 絵本を媒介とした母親と子どもの対話を縦断的に分析することによって, (1)フォーマットはどのように形成されて, 変化するのか (2)フオーマットの使用に第一子と第二子の個人差はあるのかについて調べることを目的とした。第一子は8カ月から3歳0カ月まで, 第二子は1歳0カ月から3歳0カ月まで観察した。その結果次のことが明らかになった。(1)フオーマットの獲得は, 形成期(母親が主導する), 習得期(子どもが参加する), 使用期(母親と子どもが役割交替をする)へと進むが, 2歳台では文化差の存在が示唆された。 (2)第一子と第二子に対して使用されるフォーマットには違いがみられた。第一子との対話には質問反応型が多く, 第二子との対話には情報提供型が多く使用された。その要因として, 第一子と第二子に対する母親の子育て観の違い, 第二子と母親の対話への第一子の同席状況, 子どもの言語習得スタイルなどが考えられた。
- 1996-08-01