幼児の量化表現の理解について : 全称量化表現を中心に
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概要
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欧米の3〜6歳児において全称量化表現の解釈が成人と異なることが, 言語学者や心理学者により報告されている。本研究では, 全称量化表現に対する日本語話者の幼児に特有な応答などを, 構文と状況を数種設けて調べた。実験1において, 肯定するべき全称量化の疑問文に対し, 先行研究で報告されているような否定的応答は見られなかったが, 余剰な事物に関する発話はやはり見られた。また疑問形容詞による疑問文に対するような応答がしばしば観察された。実験2では, 疑問形容詞型の応答の生起傾向が, 全称量化表現の種類・構文また提示文と照合するべき状況により異なるか, 3〜6歳の幼児を対象に調べた。その結果, 5歳前半以下の幼児においては, 質問文の構文と照合するべき状況の構成により, 疑問形容詞型応答傾向に差がみられた。一方5歳後半以降になると, 疑問形容詞型の応答はほとんど生じなくなることが分かった。実験1・2から全称量化表現の疑問文の適切な応答は, 全称量化表現を含む支の理解 (言語能力) と, 判断すべき状況の認識 (認知能力) の両要因に規定されると考えられる。
- 日本発達心理学会の論文
- 1995-07-15
著者
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