幼児における社会的コンピテンスの諸測度間の相互関連性とその個人差
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概要
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社会的コンピテンスとは, 社会的に是認された方法を用いて効果的な相互交渉を行なう能力である。本研究では, 行動観察, 教師評定, ソシオメトリック・テストを用いて, 仲間関係における幼児の社会的コンピテンスの多面的評価を試みた。まず研究1において, 4つの下位尺度 (協調性, 仲間関係への参加, 主導性, 対大人関係) から成る教師評定用の社会的コンピテンス尺度が作成された。研究2では, 社会的コンピテンスの諸測度間の相互関連性とその個人差について検討した。その結果, 女児では能動的な, 男児では協調的な他児への働きかけが, 仲間からの人気の評価と関連を持っていた。また肯定的な感情の共有をともなう相互作用は, 教師による参加傾向の評価と関連を持っていた。男児ではこれに加えて, 参加行動の成功率が教師による主導性の評価と関連を持ち, 攻撃行動も一種の解決行動として評価されている可能性が考えられるが, 女児ではそのような関連性は見られなかった。このような性差はクラスター分析によって見いだされた個人差のパターンにも反映されている。しかしクラスター分析では, 相互関連性のパターンとは異なる自己抑制型のコンピテンスのパターンも見出され, 非コンピテンスの内容にも個人差の存在が認められた。以上の結果は社会的コンピテンスに関する質的分析の必要性を示している。
- 1993-07-10
著者
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