保護者における児童虐待の認知の特徴と発達心理学的要因の検討
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概要
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本研究の主な目的は, 保育園に通わせている保護者169名, 児童相談所職員68名, 保育士71名を対象に, 児童虐待の認知について, (1)専門家群と比較することによって, 保護者群の特徴を明らかにし, (2)保護者群においては, 個人要因(被虐待経験, 育児環境, 年齢)の高低と虐待認知の差を検討した。その結果, 保護者は, 児童相談所職員に比べて, 即座に子どもに大きなケガや有害な影響をもたらさない行為は, 虐待とみなす程度が低いこと, 日常的な世話に関わる行為は虐待と認知しやすいことが示された。児童相談所職員は, 児童虐待防止等に関する法律の定義に準拠した認知をしており, 即座に子どもに大きなケガや有害な影響をもたらさない行為を有意に高く「虐待」とみなした。保育士は, 保護者と似た捉え方であった。保護者の個人要因と虐待認知の関係において, 臨床群の先行研究で扱われた個人要因(被虐待経験, 育児環境, 年齢)は, 虐待認知に影響を及ぼさなかった。今後は保護者群の虐待認知に影響を及ぼす要因を新たに検討する必要がある。
- 2005-04-20
著者
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