子どもとの注意を共有するための母親の注意喚起行動 : おもちゃ遊び場面分析から
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概要
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母子間における`注意の共有(joint attention) 'は, 認知的発達にも情緒的発違にも重要な役割を果たすものである。その注意の共有には, 指さしや提示など母親の注意喚起行動のありかたが大きく関わっている。本研究は, 20〜22カ月齢の幼児とその母親を対象とし, 数種類のおもちやを用いた自由遊び場面における母親の注意共有方略 (応答/転換) や手段 (提示/例示/手渡し/指さし) , それに対する子どもの反応を明らかにすることを目的としてなされたものである。その結果, 母親は「転換」よりも「応答」によって子どもに働きかけることが多く, 「応答」と「転換」ではその際に伴う発話や用いる手段に違いがみられた。「応答」では`命名'や`使い方の教示'などの情報提供的な発話が, 「転換」では指示的な発話がより多く伴っており, 「転換」では「応答」に比ベ`提示'がより多く用いられていた。母親の「転換」は半数が子どもの「無視・拒否」という反応を受けたが, 手段別に見ると`指さし'や`手渡し'という手段による母親の「転換」は子どもの反応をより多く引き出し, 「言葉のみによる転換」は子どもに拒否・無視されることが多かった。「転換」が成立した場合も, その後の注意共有は子どもを開始者としたものよりも継続時間が短く, 注意を共有する目的としては「転換」は有効な方略ではないことが明らかとなった。
- 2000-12-31
著者
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