ラットの視覚刺激と聴覚刺激の短期記憶に及ぼす抗コリン薬投与と内側中隔破壊の効果
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概要
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本研究では短期記憶におけるモダリティ効果に関与する脳内機構を明らかにするため,抗コリン薬(スコポラミン,メチルスコポラミン,メカミラミン,ヘキサメソニウム)投与,および内側中隔破壊がラットの継時遅延見本合わせ課題の遂行に及ぼす効果について調べた。第1刺激(S1)として聴覚刺激または視覚刺激を提示し,遅延時間の後に第2刺激(S2)として再び聴覚刺激または視覚刺激を提示した。ラットにはS2の刺激モダリティがS1と同じであるかどうかを弁別させた。スコポラミン(0.03-0.1mg/kg)およびメカミラミン(1-3mg/kg)を投与した場合,S1の刺激モダリティに関わらず,見本合わせの遂行成績が低下したが,メチルスコポラミンやヘキサメソニウムにはそのような効果がみられなかった。このことから,脳内コリン作動性神経のムス力リン性受容体とニコチン性受容体が視覚刺激と聴覚刺激の短期記憶に関与していることが示された。内側中隔を破壊した場合,S1として視覚刺激を提示した試行では見本合わせの成績が低下した砿聴覚刺激を提示した場合にはそのような効果がみられなかった。内側中隔は視覚刺激の短期記憶の処理に関与している昿聴覚刺激の処理には関与していないことがわかった。
- 2003-12-25
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