92. ほ乳類心臓刺激伝導係の比較解剖学的,組織化学的研究

概要

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これまで, われわれはイヌの刺激伝導系各部(洞房結節, 房室結節, 房室束, Purkinje線維)を構成する特殊心筋線維と一般心筋線維の酵素の分布状態を組織化学的に観察して来た。今回はサル, ウシ, ブタ, イヌ, ネコ, ウサギ, ラット, マウスの特殊心筋線維と一般心筋線維における酸性フォスファターゼ, コハク酸脱水素酵素, コリンエステラーゼの各酵素の分布を中心に組織化学的に検索して次の結果をえた。酸性フォスファターゼは各種ほ乳類の一般心筋線維では弱陽性反応を呈したが, 特殊心筋線維では動物差が認められた。すなわち, ウシ, ブタでは弱陽性反応が, ウサギ, ラット, マウスでは陽性反応が, また, サル, イヌ, ネコでは強陽性反応が観察できた。コハク酸脱水素酵素は検索されたすべての動物の一般心筋線維で強陽性反応を認めたが, 特殊心筋線維ではほとんど陰性に近い反応を呈した。コリンエステラーゼはすべでの動物で一般心筋線維では弱陽性反応を呈したが, 特殊心筋線維では強陽性反応が認められた。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01