45. 石灰化とphospholipid complexの存在について

概要

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近年硬組織の石灰化に関して、燐脂質の意義が注目されている。我々はヒヨコ及び牛胎仔の長幹骨の骨端部を取り、よく洗滌後chloroform-methanolで抽出した。得られた脂質をAnghileriの法に準じてethanol ; ethyl ether 3 : 1の混液で充分洗滌し、これに可溶の脂質を除去すると少量の残渣が得られた。これはchloroformに溶解し脂質としての性格を持っている。これをシリカゲル薄層クロマトで分画すると、中性脂質等は含まれず燐脂質としての態度を示し、Phosphatidylserine等が含まれていた。又この残渣は6N HClと加熱後、減圧下HClを除去(o-Cresolphthalein Complexone試薬で検したところCa++の存在が認められたが、一方先のethanol-ether可溶脂質にはCa++の存在は認められなかった。従って残渣は燐脂質とCaとのcomplexであることが予想された。他方骨端部の脂質染色標本においては、脂質は破骨細胞に最も多く、次いで造骨細胞、肥大軟骨細胞に検出され軟骨細胞柱間の基質はび漫性に淡く染色されるに過ぎない。そしてこれら可染性脂質はethanol-other混液によって殆んど消失する。これら組織像との関連においてPhospholipid complexの存在の意義は今後の検索を必要とする。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01