44. ラット硬組織における中性塩可溶性コラゲンの分布
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概要
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ラット皮膚より中性塩可溶性コラゲンを抽出・精製し, これを抗原として家兎に感作し特異抗体を作製したのち, 酵素抗体法を用いてラット胎児および幼若ラットの骨組織と歯胚における中性塩可溶性コラゲンの分布状態を観察した。その結果, 通常のコラゲン染色(アザン染色)では骨基質は一様に染まるのに対し, 杭中性塩可溶性コラゲン抗体を用いた酵素抗体法では骨基質辺縁部に強い反応を認めた。骨膜においても強い反応が見られ, さらには骨芽細胞や骨細胞の細胞質にも同抗原の局在をみた。歯胚における予成象牙質ではアザン染色で内琺瑯上皮細胞側が濃染するのに対して, 酵素抗体法では, 中央部は陰性で, それをはさんで象牙芽細胞側と内琺瑯上皮細胞側に強い反応が認められた。以上のことから, 中性塩可溶性コラゲンは, 形成初期の骨基質や予成象牙質に存在し, 成熟するにつれて減少するものと思われる。さらに内琺瑯上皮細胞側における予成象牙質の反応は基底膜に附着する電顕的微細な線維が中性塩可溶性コラゲン性物質から成ることを示唆していると思われる。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1978-11-01
著者
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