医学・歯学教育と組織細胞化学
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概要
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組織細胞化学は方法論的に近年著しく進歩し, 生物学ならびに医学・歯学の研究に広く活用されているのみならず, 最近は診療面への応用も広がってきた。しかし教育面においてはどうであろうか。その実態は各大学間でかなり多彩であり, また各講座ないし教育者の研究特性とも密接に関連しているように推測される。しかしその実態に関する研究は従来皆無といえよう。研究目的: 本調査は, まず医学・歯学教育の中における組織細胞化学の現状, 卒前・卒後教育におけるニーズ, それにもとづく教育目標などを, 多数の教育者の御協力を得て調査し, 今後の教育改善に若干でも参考資料を提供することを目的として行われたものである。調査方法: 1. 組織細胞化学の対象項目: 古典的な特殊染色から走査型電顕, 顕微分光法などまで広く捉えた。換言すれば, 形態学的な組織細胞学的検索方法のほぼ全般を含めたといえる。2. アンケート依頼先: 全国国・公・私立大学医学部・医科大学の解剖学ならびに病理学教室, および内科学教授, 同歯学部-歯科大学の口腔解剖学ならびに同病理学教室。3. 教育の現状ならびに目標の段階づけ: (1)知識として知っている(想起レベル, 講義)(2)作成された資料の判読ができる(解釈レベル, 観察実習)(3)資料の作成・判読ができる(技能・解釈レベル-手技実習)調査結果: 回収率-医学部解剖学教室36/72(50%), 同病理学教室54/72(75%), 同内科学教授88/259 (34%), 歯学部口腔解剖学教室9/26(35%), 同口腔病理学教室13/26(50%)。詳細はさておき, 目立つ傾向として; 1)現状に関し大学問の差が著しい, 2)解剖学より病理学の方が対象項目の幅が広い, たゞし電顕写真数は解剖学の方が圧倒的に多い, 3)学部教育の現状ではほとんどの項目が(1), (2)のレベルで広範囲を示し, (3)がほとんどみられない, それに反し臨床(診断学, 検査学)のニーズとしては, 病原体染色と細胞診に関して(3)レベルが予想以上に強い。すなわち基礎医学教育の現状と臨床からのニーズの間にギャップが見られる。4)卒後教育の目標として病理学では, レベル(3)を要求する項目が多い。解剖学におけるそれは研究特性により影響され, 病理学における程ではないようである, などが認められた。この調査研究の動機と発表の機会を与えられた森 昌彦会長ならびに調査に御協力いただいた多くの先生方に謝意を表する。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1978-11-01
著者
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