5. 家兎角膜におけるGlycogen synthetaseの電子顕微鏡的組織細胞化学的研究

概要

論文の詳細を見る
研究目的 : 角膜のglycogen synthetaseに関する研究は, ほとんどない。この活性の局在部位, 合成多糖体顆粒の形状を電子顕微鏡的に検索し, phosphorylaseの場合と比較検討する。方法 : 基質液は, 武内・佐々木・松本法に準じた。(1)家兎角膜を輪部で切除後, ただちに基質液に20分間浸漬した, (2)家兎の前房水を基質液と置換し, 20分間浸漬した, の2法に分けた。結果 : glycogen synthetase活性下に合成された多糖体顆粒は, (1)(2)共に角膜上皮細胞, keratocyteの細胞質基質部に存在した。顆粒は平均250Åで, 多数が集簇をなし, 細胞質基質部を充満拡張した。PAS陽性, アミラーゼに消化された。角膜上皮では, 基底部より表層の細胞において活性が強い。基底部細胞では, 雲恕状細顆粒も合成されたが, 表層部細胞では, ほとんどが平均250Å大の顆粒の合成をみた。この点, 従来の報告と異なる。(2)の場合には, 合成多糖体顆粒の鉛に対する染色性が, (1)の場合より高い。合成多糖体顆粒の分布, 形状も, phosphorylaseによるそれらとは, 若干の相違を示した。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20