SII-2 2. 実験的脂肝の電顕組織化学, とくに酵素消化法の応用について
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概要
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脂質に対する酵素消化法 本法は, 未固定ないし軽く前固定された組織細胞内脂質を, 純な脂質分解酵素で消化し, 誘導脂酸で基質の局在を判定するものである。酵素と基質がなるべく生の状態で十分に接触できるよう, 例えば, 浮游ないし塗沫試料やクリオスタット切片, または1/2Karnovsky液で短時間灌流固定後冷カコジレート緩衝液で洗ったものをビブラトームで薄切した試料を, 消化液に投入し, 一定の振盪を与えながら反応を進めるなどと工夫する。消化液は, 0.4%の割合に塩化カルシウムを含む0.2Mトリス緩衝液(pH8.0)10mlに, 中性脂肪検出のためにはLipase (Boehringer)5mgを, また燐脂質検出のためにはpH5で熱処理された蛇毒(Sigma)10mgを, 夫々添加して調製する。37℃, 30〜45分間処理で誘導される脂酸をin situに石灰塩として沈着させる。冷生理食塩水で, 反応を止めると共に, 試料を十分に洗う。被消化試料を, 0.1%硝酸鉛を含む生理食塩水に15分間浸漬, 再び生理食塩水で十分に洗い, Paladeの処方のオスミウムで後固定する。試料を脱水包埋後, その超薄切片を作製して観察するが, 既存の脂酸, 石灰, 鉛などによる非特異的反応を除くために試みた前処置は, 酵素反応を妨げると共に超微構造も乱すので, 酵素を含まない反応液で処理された重複対照切片を必ず同時に作り, 消化切片にのみみられる鉛顆粒を反応産物とした。今迄の成績では, 蛋白と強く結合していない, 酵素が十分に作用しうるような, 小脂肪顆粒ないしミエリン像で良好な所見を得ている。実験的脂肝初期病変の観察 従来私達は, ラットで諸種の脂肝ないしそれらの初期過程を実験的に設定し, 多くの中性脂肪脂肝初期病変として, 小胞体腔内の低電子密度顆粒の出現とその膜系に局在するB型エステラーゼ活性減弱がみられることを述べてきた。今回, 小胞体腔内に出現する顆粒に対して酵素消化法を応用してみた。初期には, Lipase消化後の粗大鉛顆粒もPhospholipase消化後の微細鉛顆粒もリポゾームにみられるが, 脂質顆粒が大きくなると前者が主として顆粒周囲にみられるのみとなる。なおコラルジルにより誘発される燐脂質脂肝に関する脂質酵素消化法の観察所見も併せて供覧したい。
- 1977-10-20
著者
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