TQMへの道:台湾からみた展望(<特集>TQMのこれから : 海外からの声)
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概要
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かつてドイツ,そして日本が安かろう悪かろうの製品の時代から,高品質イメージに至る道を台湾も同様に歩んでいる.道の始まりは50年の初めである.当時メイド・イン台湾は,まさに安かろう悪かろうの時代であり,SQCの概念や方法論が2つの企業で米国から導入された.続いて,政府による飴と鞭による品質管理の普及・奨励策がとられた.ひとつは検査の義務づけであり,今ひとつは品質管理に優れた企業への低利ローンや税軽減の優遇策である.さらに,60年代における余剰労働力を活用しての海外からの投資を呼び込む政府の策が品質管理の進展をスピードアップさせた.台湾に進出した日本,米国そして欧州の企業は最新の品質管理の概念,スキルとシステムを現地の技術者やテクニシャンを教育するための専門かとともに持ち込んできた.これが品質管理導入の第2の波であり,70年から80年のはじめには台湾製品は,価格はフェアであるが,品質は悪くない程度の評価になった.そして,ターニングポイントが訪れる.それは現地の会社をスピン・オフした若い起業家が日本のアプローチ,米国に代表される西欧のアプローチを中国文化のエッセンスとブレンドさせた.中国人の香りのする新しいアプローチが,台湾では共通的に実践されるようになった今では,メイド・イン台湾は,高品質,高付加地価を意味するところまでに至り,中国的品質管理やマネジメント・システムの輸出も始まっている.しかしながら,このような経済発展の一方で公害問題等の副作用もあり,高品質の達成は生活の質を犠牲にした面もある.今後もTQMへ向けての道には限界はない.地球市民として世界各国互いに学びながらこの道を目指そうではないか.
- 1996-04-15