ナラティヴから捉える子育て期女性の意味づけ : 生涯発達の視点から
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概要
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本研究は,近年,多様で複雑な経験であることが指摘される女性にとっての子育ての意味を,母親となった女性自身の生き方や人生との関連で明らかにするものである。具体的には,第1子がO歳から3歳で,家庭で子育て中心の生活を送っている女性11名に,詳細な面接調査を行い,ナラティヴアプローチの枠組みを用いて,日々の生活や個々の人生の展望を語るなかで行われる子育ての意味づけの特徴を捉えた。その結果,「子育ての意味づけ」の類型化とそれに対応する「ライフパースペクティブの語り」の特徴から5つの意味づけパターンを明らかにした。5つの意味づけは各々「自明で肯定的なものとしての子育て」,「成長課題としての子育て」,「小休止としての現在」,「個人的成長としての現在」,「模索される子育ての意味づけ」として特徴づけられた。各意味づけに対応する「ライフパースペクティブの語り」とは,意味づけがなされる語りの文脈を捉えたものであり,各々の意味づけは,母親である自分,育児中心の生活,個としての生き方をめぐる葛藤や困難等の問題の有無とその所在を中心に構成されていた。最後に,これらの結果を受けて,5つの意味づけパターンを「受け入れ方略としての意味づけ」の枠組みから整理し,子育て期女性の意味づけのモデルとして提示した。
- 2004-04-20