虐待を受けた子どもに対する環境療法 : 児童自立支援施設における非行傾向のある小学生に対する治療教育
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概要
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この論文では,虐待を受けた子どもに対する環境療法について研究した,。その知見は,非行傾向のある小学生に対する児童自立支援施設における治療教育から得られたものである。環境療法による処遇では,施設の生活場面全体を治療環境としてとらえて活用した。そして,子どもたちが日々の生活の中で安心感を抱くことができるように,治療者は小集団の中で強力なサポートを提供していくのだが,その際には,虐待を受けた子どもたちにとっては,日課や遊びといったものが大きな意義を持つことにも十分留意した。さらに,問題行動に対しては,一定限度まで表出させる一方,そのつど対応し,修正を行っていくようにしていった。それらとともに,子どもたちが,気持ちや感情を言葉で表現していくことに対する援助を行ったり,あるいは自尊心を向上させることができるように関わったりすることにも留意して対応を行った。他方で,それらと並行して,家庭に対する援助を行ったり,あるいは園外活動,試験復学など施設外での社会内処遇も十分に活用したりするようにしていった。虐待を受けた子どもに対する治療的なアプローチとして,環境療法が有効であることが示され,その対応の重要性といくつかの留意点について考察された。
- 2003-04-20