幼児のかな文字視写を成立させる要因についての検討
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概要
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本研究の目的は,幼児のかな文字視写の成立に関して,文字の特徴別に文字の「読み」と「分節化-構成」,「ストローク」という3つの要因の関連から検討を行うことであった。実験Iは,平均年齢5歳2カ月の幼児47名を対象に文字読み,線視写,文字視写,分節化-構成課題の実験を行った。視写と構成の結果は,5つの字形の誤りカテゴリと分節化の観点から評定が行われた。読みの成否と視写の誤りの関連から,「曲線折れ線」や「曲線交差」の文字は,「読み」要因が,構成と視写の関連では,「接点」や「交差」,「交差分離」の文字で「分節化-構成」要因がそれぞれ視写の成立にはより重要だと考えられた。「閉円」の文字は,「読み」も「分節化-構成」の要因も関連がなかった。実験IIは,「ストローク」の要因に関して検討された。実験Iに参加した被験児に,実験Iで誤りのあった文字を書かせる前に,実験者が視写の前に成人型のストロークを示し字形の改善を調べた。実験Iの結果から読みと構成の成績で被験児の群分けを行い,群別に字形の改善率を比較すると,字形の改善が他の群と比較して多く見られたのは,文字の読みと構成ができる被験児の群であった。実験Iの結果から,字形の特徴により「読み」や「分節化-構成」の要因の重要性が異なること,実験IIの結果からストロークが不十分な場合にも字形の誤りが出ると考えられ,「ストローク」も視写の成立要因であると考えられた。
- 2003-04-20
著者
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