青年期の友人関係における自己表明と他者の表明を望む気持ち
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概要
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本研究では,青年期の友人関係の中での自己表明と他者の表明を望む気持ちの2側面を測定する尺度を作成し,それをもとに発達的特徴を検討した。731名の中学・高校生に質問紙調査を行った。友人ヘの自己表明は「限界・喜びの表明」「意見の表明」「不満・要求の表明」「断りの表明」に分類された。高校生は中学生に比べて「限界・喜びの表明」「意見の表明」を多く行うことが示された。男子は女子に比べて「不満・要求の表明」を多く行い,女子は男子よりも「限界・喜びの表明」を多く行っていた。また,他者の表明を望む気持ちは「相談・依頼を望む気持ち」「率直な断りを望む気持ち」「率直な抗議・注意を望む気持ち」「独自な意見の表明を望む気持ち」に分類された。高校生は中学生に比べて「独自な意見を望む気持ち」が強いことが示された。すべての因子で男女差が認められ,女子は男子に比べて友人の率直な表明を望む気持ちを全般的に強く持っていた。さらに,2側面の関係を検討したところ,「限界・喜びの表明」「意見の表明」は他者の表明を望む気持ちのすべての因子と有意な正の相関を示し,「不満・要求の表明」「断りの表明」は,他者の表明を望む気持ちのすべての因子とほとんど有意な相関が見られなかった。これらの結果から,中学・高校生への主張性援助を行う際に考慮すべき点について論じた。
- 日本発達心理学会の論文
- 2001-07-15
著者
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