2〜3歳児の子どもの存在/自己のありようを記述する試み : 主体間の両義的な力動的関係という観点から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
保育の場に関与しつつ縦断的に観察を行っていると,子どもが2〜3歳ともなれば、それ以前とはまた異なる独特の存在/自己のありようが浮き立ち、またそのようなものとして保育者と観察者の下に感じられるようになってくる。本稿では、子どもと保育者双方の心の動きにまで踏み込んで事例記述を行い,この時期の子どもの存在/自己のありようの内実を明らかにすることを目的とした。結果は以下の通りである。(1)2〜3歳児は〈自己-依存>という一見逆向きの態度を表裏一体に抱え込み,それは,保育者の〈導く-受け入れる>という両義的な対応に絡み合って表面化する。(2)保育者の対応も,子どもの「自己」の〈押し出す-萎縮する>という両義的な出方と絡み合うかたちで紡ぎ出される。(3)2〜3歳時の子どもに特有の存在/自己のありようの内実とは,この「子ども-保育者」の絡み合った力動的関係の中で、子どもが「一個の自己」として浮き立ち, 保育者と観察者の下に感じられるその都度の具体的な様相に他ならない。以上の結果を踏まえ,自他関係の基本的構造として,「主体間の両義的な力動的関係」という枠組みを提示した。
- 日本発達心理学会の論文
- 2001-07-15
著者
関連論文
- PF02 保育者の呈する「どっしり感」(2) : 2〜3歳児と保育者の関わりの観察から
- PF01 保育者の呈する「どっしり感」(1) : 2〜3歳児と保育者の関わりの観察から
- 2〜3歳児の子どもの存在/自己のありようを記述する試み : 主体間の両義的な力動的関係という観点から