中学生の精神的健康とその父親の家庭関与との関連 : 父母評定の一致度からの検討
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概要
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本研究では中学生の精神的健康が,父親の家庭関与についての父母評定の一致度とどのように関連しているかを検討した。中学1・2・3年生の家族161組を対象とし,中学生の精神的健康(神経症傾向・怒り・非協調性)については中学生が、父親の家庭関与については父親と母親が評定した。中学生の精神的健康と父親の家庭関与との相関を算出したところ,男子では神経症傾向・怒り・非協調性全てが,母親の評定した父親の家庭関与と相関を示した。一方女子は神経症傾向が父母評定ともに父親の家庭関与と相関を示していた。次に父母評定の一致度により4群(父母ともに父親の家庭関与を高く評定した一致群,父母ともに低く評定した一致群,父親は高く母親は低く評定した不一致群,父親は低く母親は高く評定した不一致群)を設定し,一元配置の分散分析を行った。その結果,父母ともに一致して父親の家庭関与を高く評価している時に中学生の神経症傾向が最も低かった。中学生の神経症傾向が最も高くなるのは,父親が自分の家庭関与を高く自己評価している一方で母親は低く評定している不一致群であった。父親が自分の関与の低さを自覚している時以上に母親のストレスが溜まり,それが中学生に伝わると推察される。また,過去に父親の家庭関与が高くても,現在の関与は低いと母親が見なしている場合にはかえって中学生の神経性傾向が高い結果が得られた。過去も現在も一貫して父親が家庭に関与することが中学生の精神的健康にとっては望ましいと考えられる。
- 2001-07-15