肺類上皮血管内皮腫の1例 : 文献的考察を加えて

概要

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背景.肺類上皮血管内皮腫は稀な肺腫瘍の1つであり、かつては血管内相気管支・肺脳細胞腫瘍(intravascular bronchioloalveolar tumor: IVBA)の名称で知られた疾患である。今回我々は胸部X線写真で両肺野に多発小結節影を呈する肺類上皮血管内皮腫の1例を報告すると共に本疾患につき報告されてきた文献を集計検討した。症例.症例は63歳、女性.特記すべき職業歴なし.背部痛を主訴に近医を受診した際に、胸部X線写真上、両肺野に多発する小結節影を指摘され当院紹介となった。諸検査結果で特に異常を認めず、確定診断目的に開胸肺生検を行った。組織学的には腫瘍の中心部は硝子化様基質が多くを占め、近縁部で腫瘍細胞が肺胞充填性または胞巣状増殖を呈した。免疫組織学的には腫瘍は血管内皮細胞マーカーである弟VIII因子関連抗原およびCD31、CD34に陽性所見を呈し、肺類上皮血管内皮腫と診断された。結論.本疾患はその報告例からも臨床経過は比較的緩徐であるとされているが、確実に進行性で、時に急速な経過をたどることがある。有効な治療法は報告されていない。本症例は肺生検後、無症候に約1年5ケ月を経過している。(肺癌.2003:43:143-147)
日本肺癌学会の論文
2003-04-20