2.肺軟骨腫の一手術切除例 : 第18回支部活動 : 関西支部
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概要
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全国的な集団検診の普及,および肺外科の進歩は悪性腫瘍はもとより良性腫瘍をも積極的に切除するようになった.しかし肺腫瘍のうちで良性腫瘍は数少なく,1〜5%と報告されている一肺の良性腫瘍のうち軟骨を構成成分とするものに肺軟骨腫と肺軟骨性過誤腫とがある.前者が軟骨組織のみからなるのに反して,後者は軟骨組織の他に脂肪組織,筋組織などをその成分に混ずることが多い.しかし実際にはこの二者の区別に,かなり混乱があり,私の集計した本邦の軟骨を含む肺腫瘍114例中,軟骨腫と報告されているもの21例,そのうち純粋に軟骨組織だけから構成されるものは我々の症例を含め9例であった.症例は25才男子,健康診断で左肺下野に3×4cm大の不正楕円形,境界明瞭な陰影を発見,肺腫瘍の術前診断で左肺下葉切除を施行した.摘出標本は,左肺S10にあり,3×3×4cm,軟骨様硬で表面は比較的平滑,やや凹凸あり,割面は白色光沢,充実性であった.病理組織所見は硝子様軟骨と線維様軟骨からなり,被膜に包まれており悪性所見は認めなかった.この様な腫瘍の悪性化については,文献では否定的な見解を示す病理学者が多いが,Hayward,および松本が悪性化を推測できる症例を報告しており,積極的に切除するのが望ましいことを強調した.
- 日本肺癌学会の論文
- 1973-06-25
著者
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