肺小細胞癌マーカーとしての血清Gastrin-releasing Peptide前駆体(proGRP)値の有用性について : 血清neuron specific enolase(NSE)値との比較検討
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概要
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Gastrin-releasing Peptide(GRP)は肺小細胞癌のオートクリン増殖因子として機能しているが,この度GRP前駆体(proGRP)に対する測定系が開発され,血中proGRPの測定が可能となった.我々は原発性肺癌127例および肺良性疾患17例の血中proGRP値を測定し,肺小細胞癌マーカーとしての有用性について検討するとともに,既存のマーカーであるNSEとの比較を行った.血中proGRP値はNSE同様,肺小細胞癌で高値例が多く,陽性率はNSEの50%に対してproGRPは75%であった.一方非小細胞癌及び良性肺疾患での陽性率はproGRPが7%及び12%,NSEが17%及び6%で,感度ならびに特異性の両面でproGRPがNSEより優っていた.また血中proGRPは小細胞癌LD群においても上昇を示す例が多く,小細胞癌の早期診断の可能性が示唆された.治療経過における変動は,proGRPの変動幅がNSEに比較して大きく,腫瘍量の増減を良く反映しているものと考えられた.以上より,血中proGRPは肺小細胞癌の血清マーカーとして臨床上有用であることが示唆された.
- 1995-06-20
著者
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一瀬 幸人
国立病院九州がんセンター
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麻生 博史
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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矢野 篤次郎
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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横山 秀樹
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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井口 東郎
国立病院九州がんセンター臨床研究部
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吉野 一郎
九州大学消化器・総合外科
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横山 秀樹
国立病院機構 別府医療センター
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吉野 一郎
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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上田 剛資
国立病院九州がんセンター呼吸器部
-
高井 英二
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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水谷 和毅
国立病院九州がんセンター呼吸器部
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麻生 博史
独立行政法人国立病院機構福岡病院呼吸器科
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高井 英二
国立病院九州がんセンター呼吸器科
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井口 東郎
国立病院機構四国がんセンター 臨床研究部
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横山 秀樹
国立病院九州がんセンター 呼吸器部
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矢野 篤次郎
国立病院九州がんセンター 呼吸器部
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