胸腔内投与制癌剤の胸水中および血液中濃度の経時的推移 : 第II報:制癌剤MMC,5-FUおよび色素剤PSPについての成績
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概要
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前回発表したBLMの成績に加えて,MMC,5-FU,PSPの各薬剤の胸水内投与,静脈内投与時の血液中および胸水中濃度の経時的推移を人工的に胸水貯留状態を作成した犬を用い検討した.胸水内投与の場合,5-FUのような低分子量の制癌剤では明らかに胸水内濃度の減衰はより速かとなり,半減期は高分子量の薬剤のそれより短縮する.胸腔内から漏出した薬剤の濃度は胸腔内から血管系への遅い移行のために静脈性投与の場合より比較的長時間血中に維持される.BLM,MMC,5-FU,PSPの胸水内での濃度の減衰を半減期で比較した成績によるとその中で最も高分子(1400)のBLMも直接胸腔から血管系に移行すると思われる.静脈内投与における血中の個々の減衰曲線は2つのコンパートメントより構成される.最初に速いコンパートメントが認められついでゆるやかなコンパートメントが続く.ゆるやかなコンパートメントに於ては低分子の薬剤は高分子のものよりより速かな減衰曲線を示す.血中から胸腔内への薬剤の移行は同様に分子量の大きさに左右され,低分子の薬剤は高分子のものより胸腔内により速かに移行する.本研究成績は,癌性胸膜炎による胸水貯留のある肺癌患者の治療には,薬剤と薬剤の注入の場の適切な選択が重要であることを示唆している.
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